「ランボー 最後の戦場」JOHN RAMBO 2007 米

  • これから本作を観る方は、ジョンがベトナム戦争に参加して以来毎晩見続けたであろう過去の戦いが悪夢とフラッシュバックするシーンの最後のカットに注目して貰いたい。そしてそこにジョンがトラウトマン大佐によって射殺される選択されなかった「ランボー」第一作目のエンディングカットが挟まれていることを見逃さないで欲しい。
  • 当初はデヴィッド・マレルの原作通りに射殺されて終るはずのランボーだったが、モニター試写の結果や続編を見込んだ撮り直しが行われ、現在のエンディングになったことは周知の事実かもしれないが、そんなシーンが差し込まれていることの意味を考えながら観ていくと、今作が必要以上に残虐な死を描くことの意味が。原題が「ランボー」ではなくて「ジョン・ランボー」であることの理由などを考える手がかりになるかもしれない。
  • 死を望むも許されず生き延びてしまったジョン。そしていくら戦闘から身を遠ざけようとも、誰よりも上手く多くの敵を殺せるモンスターに育てられてしまったがゆえに、何度も戦場に呼び戻される内に、当初は厭戦反戦の色合いが濃かったはずのランボーは、いつしか戦いを好み暴れる人間を蔑視する代名詞になるまでに変わり果ててしまった。ジョン・ランボーというキャラクターが抱える矛盾と闇。そしてそのようなモンスター的変貌を遂げてしまったキャラクターを抱えるシルベスター・スタローン自身の姿。己が産み落とし、生かし、育ててしまったモンスター:ランボーに対する責任に誠実なまでに向き合おうとしたのが本作の姿だろう。だからこそ「人を殺すこと」ただそのものを描き、娯楽アクションの影に隠蔽されてきた夥しく惨たらしい死の様をあえてさらけ出す。そうして迎える本作のラストのジョンの姿を見るに至り僕は涙が止まらなくなってしまったのだった。

あの頃キミは若かった

  • 先日偶然にも思わぬ映画で意外な方をお見かけしたので、既にご存知の方には何を今更‥という話題になってしまうのですが、いや〜わたし全然知らなくて見つけてちょっと嬉しかったもので、ここにご紹介させて頂く次第。
  • まずはこの↓

  • 財宝を独り占めしようとして哀れ↓こうなってしまった彼なんですが‥カンケーありませんがウチのblog。再開してから死体画像がやたら増えましたか?気のせいだといいのですが‥

  • シーンはよく覚えているのに演者のことなんかこれっぽちも覚えていませんでした‥まぁそりゃそうか)が、改めて観ていたら‥

  • あらま!アルフレッド”ドックオク”モリナさんじゃありませんか! え?死体のダミーと全然顔が違う?ホントに本人かって?あたしゃ知りませんよ。クリス・ウェイラスに文句云ってください。

  • allcinemaさんによれば、これが彼のスクリーンデヴューだとか‥いい顔してますね。

  • わりゃ!あんま調子乗ってんじゃねっぞ! いやぁ「ブレードランナー:デンジャラスデイズ」を見るとハリソンさんも随分と丸くなったものだと感慨深かったですネ。
  • さて次は、突然変異的に傑作2本を続けて撮ってしまった前後はてんでさっぱりのジャック・ショルダーの、その傑作の1本のこれ↓。

  • え?じゃあ残りのもう1本は?‥て、もちろん「エルム街2」であろうハズがなく、当然「ラスト・カウントダウン:大統領の選択」ですよ!クラウディア・クリスチャンに瞬間ときめいたのも本作がきっかけでしたな〜。

  • わりゃ!はなしが逸れてっぞ!!

  • もうヒトがせっかく思い出に浸っているのに五月蝿いなぁ‥って!?

  • なんぞ文句でもあるのかと?

  • うっさい死ね

  • うわーい
  • なんでも彼:ダニー・トレホは「プロジェクトA」英語版で、あのディック・ウェイ(狄威)演じる海賊大将の吹き替えが業界デビューだったとか!!‥本人には伝えづらいが、オーディション絶対顔で選ばれてるな‥声優なのに。

水曜ドーデショー

  • 先日公開された「ヘルボーイII:The Golden Army」のティーザー予告編に懐かしく嬉しいものを発見しました。それが上のスチルなんですが、こんな目配せを用意する(しかも字が欠けている辺りは照れでしょうか?)ギレルモ・デル・トロ監督もきっとジョン・ランディスのファンなのだと思うと嬉しくなってしまいます。

  • それでは皆さん、また来週の水曜にお会いいたしましょう。

皆殺しの雄叫びをあげ‥

  • その映像が公開されるや、あまりにブラッディな描写の数々に話題蒼然となった「ランボー 最後の戦場」が、ついにアメリカで公開されたようです。それに併せて本編クリップが幾つかネット上で公開されましたが、これがまた凄まじいのでちょっとご紹介。銃撃を受けた人体損壊描写も確かに凄いのですが、それより銃弾の口径・火薬差による着弾描写の違いがしっかりと表現されていることに注目なのです。


  • ビルマ哨戒艇に積まれたFN機関銃から放たれる7.62mmx51(.30口径)が河岸の木造船を粉々に破壊してゆきます。これはスタさんが弾帯を身体に巻きつけて手持ちで撃っていたM60機関銃が使用している銃弾と同じです。

  • 対するスタさんはビルマ軍のトラックに積まれたM2重機関銃(このM2ちょっと変わっていて、バレル部がM1919機関銃←「ターミネーター3」で棺桶片手で担いだツェネガーが片手で撃ちまくってたやつ。に似たものに、マズルがバーレットのものに換装されてるようです)を奪取しこれに応戦します。こちらは12.7mmx99(.50口径)です。
  • 因みに「x51」「x99」は火薬を収めた薬莢の長さを表します。だから同じ口径の銃弾だとしても薬莢が大きく火薬量の多い方が威力が高いということになるのですが、数字でその差をみてもイマイチぴんとこないと思うので、下の写真を見てもらえればその差がいかに大きなものかハッキリ実感できると思います。一番左のがスタさんの使う.50口径弾で、左から3番目が哨戒艇の.30口径弾です。.30口径弾も充分強力な弾なんですが、こう並んでしまうとなんか子供の喧嘩に大人が割り込んでくるような理不尽さを感じませんでしょうか(笑)?


  • さてそんな弾で撃ちこまれる哨戒艇の皆さんはどーなってしまうんでしょうか?

  • .50口径弾が装甲に守られた哨戒艇を粉々に破壊してゆきます。船体にバカスカと穴を穿ってゆきます。

  • 当然中の人はこうなります。
  • 後方よりビルマ軍の増援がトラックで到着。すかさずスタさん振り向いて応射です。

  • .50口径弾の前には前方を遮る木々は障害物にすらなり得ません。構わず撃ちまくるスタさん。

  • 木々を突き抜けた銃弾は運転席をも易々と貫き、荷台にいた歩兵は木っ端微塵の肉塊に‥。

  • 先ほどの哨戒艇の後部射手はまだ健在のようで必死にスタさんに向かって弾幕をはりますが、スタさんを支援するスナイパーが、こちらも12.7mmx99弾を使用するバーレットM82ですかさず狙撃。

  • 当然撃たれた人はこうなります。

  • スッキャナアアアアアぁーズ!お人形さん丸出しですが、大事なのは欲しい画を撮る!その心意気なのですぞ。


  • いやぁ!聞きしに勝る凄まじさです!劇場公開版では編集されてしまうのでは?と不安を覚えてしまうほどです。トラックのシーンなど、あれだけのロングショットでもカメラにハッキリと捉えられている血糊も凄いです(その量を考えると、そのほとんどはCG合成処理によって血糊を増やしているのでしょう)。これがスタさんのいう真実のビルマの姿なのかは判りませんが、映画を観ていて拳銃弾やライフル弾の違い、その口径や火薬差なぞ気にしない大多数の観客にとっては、ただ派手さを求めたあり得ないヤリ過ぎな描写に映って笑けてしまうかもしれません。←いやワタシも笑いましたが)人体を穿つ銃創から向こうが見通せるなんて、サム・ライミだったら演出の方便←つーか只のカートゥーン好きかも)。キャメロンなら未来のテクノロジーへの畏れ←つーか只のフェチかも)であったでしょうが、今回のスタさんが提示するそれはかなり即物的かつ正確なものなのではないかと‥。当然「ライアン症候群」の影響下に括れるとは思いますが、それを娯楽アクション映画というカテゴリに持ち込んでしまうと、やはりギャグになってしまいますか?
  • 最近では珍しくなくなってきた.50口径対物ライフルによる狙撃を描写した映画といえば近作では、マイケル・マンの「マイアミ・バイス」(あの映画は肉体損壊描写は控えめなマイケル・マン監督作にしては血糊も多いヴァイオレントな描写が多かったですね)か、「シューター 極大射程」の冒頭シーン(対物ライフルに切り替えてからは一撃で仕留める流れにしてほしかった‥)でしょうか? 個人的に印象深い作品は何作かありますが、まずはドルフ・ラングレン主演の「スナイパー」。ラングレンが使用する映画初登場だった Research Armaments Model500 の異様も印象的でしたが、敵対する狙撃手のバーレットに打ち抜かれた高級車の射出側のドアが吹き飛ぶ描写が壮絶でした。
  • 一番のお気に入りは「ハードカバー 黒衣の使者」で知られるティボー・タカクス監督、マーク・ダカスコス、キャリー・アン・モス主演のサスペンス・アクション「サボタージュ」(傑作!)の冒頭シークエンス。飛行場におけるトニー”キャンディマン”トッドによる長距離狙撃シーンは必見です。短いシーンですが狙撃地点を割り出し追い詰めんとするダコたん(ファニングに非ず)とトッドの駆け引きは鳥肌が立つ苛烈さです。DVD化はされていないので、陽晒しになったVHSの中に本作を見つけたら、是非の救出と鑑賞をお薦めしたいです。

2007年の極私的フェイバリット・ムービー10+1

  • ドッグ・バイト・ドッグ

  • 主人公は僕だった

  • レミーのおいしいレストラン

  • ドリーム・ガールズ

  • パフューム ある殺人者の物語


  • その他に‥

2008年明けましておめでとうございます

  • なんとも1年ぶりの更新になってしまいました。更新を止めていた間に、出たら死んでもいいとかいっていた「ブレードランナー:ワークプリント版」は本当に発売されてしまうし、それ以上に削除シーンを繋げて再生すると何と第6のヴァージョンが現れてしまうという、こんな映像を本当に観てしまってもいいのか?という畏れにも似た感情まで抱いてしまった「25周年記念アルティメット・コレクターズエディション」の仕様は腰が抜けるほどの大事件でしたし、それ以上にDLP上映で鑑賞した「ファイナルカット版」から受けた筆舌に尽くしがたい衝撃と感動を何としたものか。「ワークプリント」の出現くらいで死んでしまうワケにはいかなくなってしまいましたよ←イイワケ。更には悲願だった「バトルスター・ギャラクティカ」の放送も実現。我慢できずにシーズン1は輸入版で既に全話視聴済みですが、もうもの凄い面白さです。放送権がユニバーサルから移ってしまったせいか、吹き替え版の製作がオミットされてしまったのは残念でしたが、今は一人でも多くの方に本シリーズの面白さに気づいてもらいたい気持ちで一杯です。さしずめE.J.オルモス万歳!アメリカン・ミー!といったところでしょうか。←勢いで言ってみた
  • 書かない、書けない、書いてこなかった割りには書き始めると書きたいことが山ほど出てくるのも皮肉なものですが、ここはやはり去年の総括を書いておきませんとね。昨年は劇場鑑賞72本。ビデオ鑑賞を併せて全170本の作品と出会えることができました。その中でも特に印象に残った作品は‥。